これ、ブログか?

うんうん、それもまたブロカツだね

灰と幻想のグリムガルを読みました【ネタバレ感想】

アニメ版が凄まじく面白かった

かった、と終了したように言ってしまいましたがまだ続いています。 8話です。8話が異常に面白かったんです。異常でした。 「完全性」を感じたんですよね。 7話までの要素を過剰も不足も無くぴったりとはめた大きなパズルが出来上がった瞬間のような。 噂だと8話までが1巻の内容らしかったので是非2巻以降をいち早く味わいたいと思って全巻購入したのです。

1巻および全体的な感想

どうまとめるか悩んだんですが、面倒になったので巻ごとに書くことにしました。 1巻については前述したようにアニメで観ていたので、びっくり仰天することはありました。 あったんですよ。アニメ版どれだけ丁寧に作られているんだよと大変驚きました。

文体が非常に好みでした。主人公視点かつ主人公の思考が理路整然とせず パニックだったり奮起したりでぐちゃぐちゃした状態で流れているのが大好きなんです。 没入感、トランス感そしてドライブ感。特に最後が自分の小説というか文章を好きになる 最大要素なのであーこれいいなー続きも読もうーとなった訳です。

2巻

最も好きな巻です。「みんな大嫌いランタの切り捨てとランタ自身の心情」「メリイの過去との決着」 「ハルヒロのリーダーとしての決意と達成」を一冊で、それも後半戦に怒涛の勢いで 叩き込むんです。恐ろしい威力です。読者は死ぬ。特に諸事情でメリイに想い入れが強い自分は、 好きな言葉が「過去との決着」の自分は、即死でした。

1巻からなんですが淡々としてるんですよこの作品。本当に。人死にでドラマティックにしようとか 泣かせようとか全くない。いや、作者的にはあるかもしれませんが、読んでいてそういう「臭み」みたいのが 全くないんです。他の作品ならさっきの3つそれぞれで一冊ずつ、3巻はかけてますよ。あれとかあれとか。 そういうこともあって2巻でグリムガルという作品が一線を画す存在なのだと認識しました。

3巻

最も驚いた巻です。前の巻でちらっと伏線を張り、3巻で表紙含め華々しくデビューした 「あぁこの子がヒロインなんだな」と読者に認識させたチョコが速攻で死にます。死にます。死。 バカじゃねぇの!?と思いました。元の世界での関係があるなんてどう考えてもこの先に必要な存在です。 でも死にます。実は生きてるとか死んだのが嘘だとかループするとか復活するとか一切ありません。 「そろそろチョコの話がなにかくるだろう」と考えながら毎巻読んでいましたが7巻までゼロです皆無です。

2巻の終わりでハルがデッドスポットをなんだかスゴイチカラで倒した時にオレツエー系になってしまわないかが 心配だったのですが、3巻冒頭ですぐにフォローし実際、2巻以降は大事な場面で必ず「線」が視える必殺技のようにはなっていません。 大事なところでも視えるけど、大事なところで視えない、どうでもいいところでも視える、どうでもいいところでも視えない、 ランダムに起こしていてそこがいいなと思っています。

4巻

最も出落ち(気分が落ち込む意味で)する巻です。3巻はチョコがかなり明示的な死を迎えるため、3巻引きの モグゾーは案外生きているのではないかと予想(期待)していました。なので4巻冒頭でモグゾーが大丈夫大丈夫と 立ち上がって僕も大丈夫になりました。1ページすら保たずに裏切られました。全然大丈夫じゃねぇよ……。

4巻はその後メリイに色目を使うドグサレ野郎クザクがパーティーに入ります。主人公視点によるシンクロ(誘導)もあり、 個人的な黒歴史もあり、これ以降僕はクザク氏ねと念じ続けることになります。

5巻

最もさらっと読んだ巻です。というのも5巻および次の6巻はあまり内容を覚えていません。 4巻時点ではメリイにはその気がないと安心できたのに、5巻から「あれ…これひょっとしたらクザクと メリイくっついた…? えっ うそでしょ えっ」と思わせるシーンを小刻みに挟んできたからです。 憎たらしいことにあえて戦闘描写の単なる配置やセリフ順でもメリイとクザクの関係を意識させてきます。 もう気が気じゃなくなってきます。一刻も早くメリイはクザクに気がないことが明示される文章が欲しくて ぶっちゃけ斜め読みです。でも疑惑は深まるばかり。もうだめだ……orz

6巻

最も心臓が痛かった巻です。一刻も早くメリイがクザクを振るシーンが見たい僕はカラー口絵を見て 瀕死です。それでも一縷の望みに賭けて読み進めるのですがどんどん状況が悪くなっていきます。 もうだめだ。いっそ介錯してくれ。もうメリイの口からクザクルートに入ったと言ってくれ……と 実生活に影響を及ぼすほどのダメージが蓄積していきます。

7巻

最も盛り上がった巻です。

この巻でついに「クザクはメリイの彼氏なの」問題に決着がつきます。 クザクはメリイに振られたと話します。あっ、あーーそうなん!?へー、へーー。うんうん、ふーん。 いやークザクは本当にいいやつなんだけどなぁ、そっかー振られちゃったかー。いやー残念だったね、でも元気だしなよ!!(肩バン

やはりハルメリこそ本道であると確信し、心臓の痛みが治まりこれ以降物語をまともに読むことができるようになります。 体に活力が戻り世界に光が溢れ天に拳を突き出して細く泣きました。実話です。

7巻はDASH島編も良かったですが、やはりソウマのメッセージからの展開、グリムガルに帰るという方針にギアが入ってからの 真っ直ぐ最短右ストレートがいい。最終章は本当に良かった。ハルが1対1で強敵と戦って 勝つというのは2巻のデッドスポット以来ではないでしょうか。いや、デッドスポットの場合は最後のトドメ以外 仲間と共に戦っていたので、最初から最後まで1対1で戦ったのは初めてであり、そして最後ではないかと思います。

この前後のハルの思考がたまらないんですよね。どわぁあああああって流れてる感じ。読んでて脳をぎゅんぎゅん流れるのがもう最高。 絶望堕ちしてから立ち上がるのがまた最高。

からのグリムガル帰還、生きていた仲間たち、ぐぁあああああぁぁぁ面白いいいいいいいい。

全巻読んでからの再び全体感想

リーダーって大変だよね……本当にね……。 すごいよハルヒロは。僕には真似できないよ。

自分とメンバーの身の丈を計り間違えない。
チームのために個としての感情を制御する。
仲間のためには上位者にも異を唱える。

どれもリーダーとしては基本かもしれないけど、できないんだって。 「普通」はできないんだって。だからさぁ、そろそろハルも気づいてよ。 自分がすげぇやつなんだって。